ずっと彼女のことを考えている

川本あかりさんのことなんですけど。
いや先日『3月のライオン』を読み返して*1、それ以来ずっとあかりさんというキャラクターの不憫さ、不自然さが心に引っかかっておったのです*2。そこにこんな増田があったので
触発されて吐瀉することにしたのです。たぶん内容的にはこの増田とだいぶかぶる。でも書く。

で、川本あかりさん。このキャラクターが置かれた状況の壮絶さと言ったら修羅場スレに何本投下できるんだっつー話ですよ。書き出しますと、

  1. 中学から高校にかけて(たぶん)父親が引きこもりに
  2. 父親が浮気して家を出る
  3. かと思ったら母親の妊娠発覚
  4. さらに母親の病気(たぶん)発覚
  5. 高3にして0歳と小学生の妹の面倒を見ながら母親の看病*3
  6. 闘病ののち母親が死去、下の妹はまだ1歳
  7. 家業の手伝いをボチボチしながら、まだまだ幼い妹の面倒を見て数年が経ちました

どうですか。どんだけ不幸ですか。不幸不幸アン不幸ですか。母親「私はあなたになんて苦労を…」とか言ってたけどホント洒落になりませんよ。
ふつうこんな状況に置かれたらキレますし、逃げても責められないと思うんすよ。私なら3.の時点で母親に愛想尽かす。病気は仕方ないにしても、仕事しねえわ浮気するわの父親と別れないどころか妊娠て。頭わいてんじゃねえかと思うはず、きっと。乳児?ひな?病気?知るかーアホーつって高校卒業と同時に家を出ます。それがなんですか、あかりさんと来たら「右も左もわからなくて…」とか言いつつ受け入れてるでないですか。正直怖い。どんだけ鉄人メンタルなの。

あとこれは描写の問題かと思うんですけど、作中、あかりさんが弱さを見せる展開がありますよね。これがなんつーか、とことん物語に都合のいい弱り方だよなぁと思うのです。序盤のあかりさんは「母」の役割を、妹たちだけでなく桐山くんに対しても果たしている。いろいろと危うい桐山くんにごはんを食べさせ、体調を気遣い、優しく包んでくれる。それが綻ぶのが、ひなちゃんがいじめに遭ったときと、父親(妻子捨男)が襲来したときであり、物語がだいぶ進んでから。その窮地に主人公・桐山くんが絡んでいくわけで、ウチの桐山、こんなに人間的に成長しましたよ!どやさ!どやさ!という見せ場にされている感。すこぶる都合のいい女*4ですよねあかりさん。悩んでる内容も、どこまでも家族のことだしな。漫画のキャラクターに現実味どうこう言うのも無粋でありますが、もっと自分のこと…考えていいのよ…?というきもちになる。じいちゃんも美咲おばちゃんも、あかりさんの将来をもっと考えてやれよォー。なァー。まだ24なんだぞォー。なァー。

いまストーリー的には完全にひなちゃんに焦点当たってるし、あかりさんの内面が描かれる展開にはなかなかならなそうなんすよね。連載終了後とか、スピンオフとかでもいいから、もう少しあかりさんの人間味を感じさせてほしい。このままじゃ操り人形すぎる。
とはいえ私は、おそらく今後もこの作品を読み続けます。少なくとも桐山くんが、香子さんや後藤となんらかの決着をつけるまでは。忘れてないからな!!