問題はたぶんそこではない
〜ウソあらすじ〜
開幕早々、ドラゴンズのていたらくに息も絶え絶えの筆者。今日も今日とてクソすぎる試合展開にくじけた心を癒すため、ガッツナイターをBGMに『3月のライオン』を1巻から読み返していた。しかし読み進めるにつれ、心にひとつの疑問が去来する。「川本家の三姉妹って、すげー歳の差きょうだいじゃないか…?」
はい。
ということで二周目を読みながら、年齢について書いてあるシーンを確認してみた。付箋貼りながらマンガ読んだの初めてだよ。
『3月のライオン』とは
羽海野チカ先生の手になる、超おもしろいハートフル将棋マンガ。中学生でプロ棋士となった主人公・桐山零が、将棋のかたわら通う高校の教師や先輩、棋士仲間、そしてひょんなことから縁ができた川本家の三姉妹と心を通わせながら成長していくお話。現在既刊10巻、白泉社「ヤングアニマル」にて連載中。以下の内容は単行本に基づきます。
川本家の家族構成
10巻現在の内容。
- 祖父: 粗米二 母方の祖父、和菓子屋「三日月堂」経営
- 父: 誠二郎 離婚して別居中
- 母: 美加子(故人)
- 長女: あかり 和菓子屋「三日月堂」店員 兼 バー「美咲」店員
- 二女: ひなた 高校生
- 三女: モモ 幼稚園児
祖父と三姉妹で暮らしており、伯母(母の姉・美咲、銀座でバー「美咲」を経営)がたまに遊びにくる。
作中のタイムライン
主人公・桐山くんの年齢(学年)をベースにしるす。なお、1年遅れで高校1年として編入しているため*1、標準的な年齢を1歳上回る。
- 1巻: 17歳*2(高1)初夏〜初秋
- 2巻: 17歳(高1)秋〜冬*3
- 3巻: 17歳(高1)冬*4〜2月頃
- 4巻: 17歳(高1)3月*5
- 5巻: 18歳(高2)4月*6〜初夏
- 6巻: 18歳(高2)初夏
- 7巻: 18歳(高2)初夏〜夏*7
- 8巻: 18歳(高2)夏
- 9巻: 18歳(高2)初秋〜19歳(高3)春
- 10巻: 19歳(高3)6月末〜7月頃?
川本三姉妹の年齢
ここも桐山くんの年齢(学年)を基準にしるす。具体的な学年・年齢の言及がない部分はほかとの対応で埋めた。
1〜4巻 | 5〜9巻 | 9巻〜 | |
---|---|---|---|
桐山零 | 17(高1) | 18(高2) | 19(高3) |
川本あかり | 22 | 23*8 | 24 |
川本ひなた | 14(中2) | 15(中3)*9 | 16(高1)*10 |
川本モモ | 3(年少) | 4(年中) | 5*11(年長*12) |
すなわち、
あかり ←(7歳)→ ひなた ←(11歳)→ モモ
という年齢差である。
出産年齢を考えてみよう
まず、父・誠二郎が家を出るのと母・美加子の死去の前後関係について、10巻 p.137「5歳のモモちゃんに 一度も会っていなかった事になる」というモノローグから、
- 両親の離婚、誠二郎が出て行く
- モモ誕生
- 美加子死去
という流れであることがわかる。つまり誠二郎は美加子を妊娠させた後に家を出ている。さすが妻子捨男だ。立派なものである。
さらに描写を追うと、
- 6巻 p.35 あかりの台詞「母が死んでからは 私がひなとモモの母親がわりだった 私は19歳でわからないことだらけだった」→上記の年齢差から、美加子が死去した当時の川本三姉妹の年齢はあかり(19)、ひなた(12)、モモ(1)となる
- 7巻 p.93 美加子の看病をするあかりは制服姿であり、かつ、「ひなとモモのことは心配しないで」と言っていることから、美加子の発病はあかり(18)(高3)、ひなた(11)、モモ(0)の頃で、しばらく闘病ののち亡くなった(モモの出産と同時に亡くなったわけではない)
ということが推察できる。長女・あかりと三女・モモの年齢差が18歳であることから、(1)あかりを20歳前後で出産、(2)モモを40代で出産、のどちらかを満たす必要がある。ここで、美加子の姉である美咲が9巻現在で52歳*13であるため、(2)のほうが有力だろうか。
10巻の時点で美加子の死去から5年が経過しており、美咲は当時47歳。美加子の享年は46歳以下であることが確定する。モモの出産はその1年以上前であることから、45歳以下となる(仮にモモ出産を42歳とすると、あかり出産が24歳、ひなた出産が31歳。享年43歳、美咲とは4歳差となる)。
結論:美加子さんマジだめんず
以下は美咲おばさんが誠二郎氏を評したモノローグ(10巻 pp.153-154)。
塾の先生をしてたんだけど ある日 生徒の親とモメて「もうやってらんない」と言っていきなり辞めてきてしまった
――で 三日月堂の手伝いを始めたんだけど 今度は「おじいちゃんが厳しすぎる」と言って家に閉じこもるようになってしまってそれでも美加子はあいつの事大好きだった
またいつか 優しくて明るいひとに戻ってくれるまで 一人で家を支えようとがんばった――でも
「そういう姿を見せつけられると」「『お前も働け働け』って無言で責められてるような気持ちになるよ」
そう言って外へ出て行く事が多くなっていって…
つまり故・美加子さんは、夫が仕事を辞め、引きこもり、しまいにゃ外で女を作るような状況になっている最中にこどもを作っているわけですよ(少なくともモモは、下手したらひなも)。鉄のメンタルの持ち主か、あるいはだめんずうぉーかーのどっちかだなって。アタイそう思った。すげえなって。誠二郎さんが好きだからオッケーだったのか、それとも、こどもが生まれればあのひともしっかりしてくれるかも的な「子はかすがい」作戦だったのか。(たぶん)40過ぎてから、体を呈してですよ。すげえよ。失敗してるけどな。
以上、川本家が歳の差きょうだいであることは確かですが、それよりも「美加子さん立派なだめんずだな!!!」という強い確信を得た調べ学習のひとときでした。めでたし。
謝辞
実り多き(多き?)調べ学習の機会を与えてくださったドラゴンズナインの皆様に感謝申し上げると共に、何が守り勝つ野球だよ周平やっぱりトンネルしてんじゃねえかよ3試合連続で逆転されてるとか守り勝つですってハッハッハご冗談をアーもうやだやだとおネガり申し上げます。