『3月のライオン』と心の汚れ

心が汚れた人間が素敵なマンガの話をします。

 

3月のライオン 10 (ジェッツコミックス)

3月のライオン 10 (ジェッツコミックス)

 

 

3月のライオン。新刊出ました。この展開いいんかいな、いやフィクションにあれこれ言うのは野暮だけど、それでもいいんかいな、というのが正直な感想です。内容に触れるので一応「続きを読む」にしておきます。

 

 

 

 

今巻、ついに川本家のおとうちゃんが登場したんですが、こいつがまあ家庭板や生活板でフルボッコにされそうなドクズ*1。じいちゃんが入院で不在という隙をついて、心優しい娘たちを言いくるめて家を奪おうとしたところに、\ババーン/われらが桐山くん参上! となるわけですけど、ここで桐山くんがとった行動が、それこそ離婚準備中の既男ばりにおとうちゃんの素行をリサーチして眼前に突きつけ、おおかた封じ込めた上で「ひなたさんとの結婚を考えています!」と爆弾発言。場はわやくちゃ。以下次巻。

いやね、フィクションに現実を持ち出すのは野暮極まりないんですけどね、ああいうおとうちゃんみたいなタイプ*2の人って、コテンパンにされると逆上するんじゃないかと思うんですよ。破れかぶれで川本家にガソリン撒きますよ。木造だからよく燃えるよ。お風呂が新しくなるよーモモちゃんよかったねーなんてね*3。フォローなのか、林田先生の「常識の通じない怪物(おとうちゃん)にはKY(桐山くん)をぶつけよう」的な発言がありますが、いやいや直接対決させてどうすんですか。法的手段を提示するとか、一時的に美咲おばさんの住まいに避難させるとか、逃げる方法を示唆してあげないでどうすんですか先生*4

そんで一番「ゲッ」と思ったのは求婚発言ですよね。桐山くんとひなちゃんは付き合っておらず、10巻かけてようやくフラグが立ったかな?ぐらいの関係*5。トラブルの最中に求婚発言をするのって、ひなちゃんの心を束縛することになるんじゃねーのと思うわけです。つまり、ひなちゃんは優しい子ですから、これで今回のトラブルが解決しちゃった暁には、今後気になる男の子ができたときにですよ、「でもれいちゃんが…あのとき私たちを助けてくれたから…」って、瞳を線でクシャクシャにしながら*6ガマンしちゃうと思うんですよ。そんな不健全な関係が桐山くんの求めるものなのか! ちがうだろう! まあ、求婚発言で一気にひなちゃんが桐山くんを(恋愛方面で)意識しだすんでしょうから、問題なく大団円なのかもしれませんけど、そりゃちょっと都合よすぎやしないかい、そんな上手く行くのかい、と思ってしまう心の汚さ。まして、桐山くんは川本家という居場所を失ってしまうことを恐れているわけですから。振られちまったらvs後藤戦のときの「恥ずかしくて川本家行けない」なんか比じゃないですよ。

マンガぐらいスッキリ解決するところを見たいという気持ちはありつつも、ご家庭トラブルを読み過ぎて「これじゃますますこじれるのでは」と思ってしまうあたり、心の汚れがいかんともしがたいところです。心の汚れ、今年のうちに。落ちない。しかし『3月のライオン』ってのはほんと家族の物語ですね。設定だけ見れば「もし発言小町に相談したら」というのが何個でも作れそう*7

小町と言えば、桐山くんが年収を宣言したところ笑った。しかも確定申告の控え付き。

*1:作中での呼び名が「妻子捨男」

*2:人当たりが良く弁は立つが、努力を嫌い、問題を他人のせいにして逃げる

*3:よかない

*4:でもまぁ…それじゃマンガにならないよね…わかってるんだ、うん、わかってる…

*5:ぼかぁ香子さんとのドロドロ共依存をもっと見たかったんだよォー

*6:羽海野先生のあの目の描き方、すごくイイ

*7:「夫の友人の子を引き取ってから、家の雰囲気が悪いです」「義姉が職場の先輩と不倫しているようです、しかも殴られました」「姪っ子の家に男子高校生が入り浸っているようです、女所帯なので心配です」