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『ZUCCA×ZUCA』の終わらせ方

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発売日チェックしておきながらなんだかんだで買いそびれ*1、ようやく昨日購読に至りました『ZUCCA×ZUCA』の最終巻。

 

ZUCCA×ZUCA(10)<完> (KCデラックス モーニング)

ZUCCA×ZUCA(10)<完> (KCデラックス モーニング)

 

 

この終わらせ方がすげー見事で、ちょっとワナワナしてしまった。

ZUCCA×ZUCA』は宝塚ファンの日常あるあるで始まり、連載が進むにつれ少しずつ登場人物が固定されていき、そこにキャラクターが肉付けされていった。とはいうものの巻頭に「登場人物紹介」があるわけでもなく、いい意味での記号っぽさというか、登場人物の「そのへんにいる人」っぽさは最後まで保たれていたように思う。人物はごくシンプルな線と彩色で描かれていて、きわめて普遍性が高かった*2

今巻もいつも通りのあるあるネタで始まった*3。半分以上読み進んで、このまま終わるのかなと思ったラストシークエンス! これまでばらばらに語られていた登場人物が、宝塚100周年を記念する大イベントにあたり、日比谷に集結するのである! これは熱い。読んでて「うおぉ」と声が出てしまった。そんで登場人物どうしが「初めまして」や「お久しぶりです」の挨拶をしたりするのもまた、実に「そのへんにいる人たち」っぽいんである。そして漫画は、ライブビューイング*4の幕が上がり、「宝塚よ 永遠なれ!」の快哉で終わる。美しすぎる。

一読者の想像でしかないが、キャラクターが多数出てきて、ストーリーらしいストーリーがないような漫画をどう終わらせるか、というのはすごく難しいんじゃないかと思う。これまで読んだ中でそのようなタイプというと、えーとなんかあったかしら、『行け!稲中卓球部』と『すごいよ!!マサルさん』が今思い付いた*5。この2つはギャグ漫画ということもあり、割と破滅的というか、投げっぱなしジャーマンな最終回であった。どちらも大好きな漫画だが、ああ作品をたたむというのは大変なことなんだな、としみじみ思ったものである。ここまで破滅的なものは置いといても、たとえば学生生活ものであれば卒業で締めたり、「突然ですが今回が最終回です!」「えー!!」のようにメタっぽく締めたり、「じゃ、また明日ね!」(毎日は続いてくエンド)というのが比較的無難なのかな、と思う。

話は戻って『ZUCCA×ZUCA』。これまでの世界観を保ちつつ、すばらしく鮮やかにたたんでみせた。登場人物が一同に会して幕を閉じるというだけなら「ある日のある公演」でも問題はないのだろうが、集まる理由付けとして「100周年の記念イベント」の方が説得力がはるかに強いし、エンディングにぴったりだ。これ、はるな檸檬先生と編集氏で、2014年に終わらせましょうって前もって決めてたんだろうか。だとしたらマジすげえ。

正直5巻ぐらいからマンネリ感は否めなかったが*6、終わりよければすべてよしでございます。ライブビューイング後の「そのへんにいる人たち」は、きっと喉が枯れるまでヅカ話で盛り上がったんだろうな。そんなお話が今後は聞けなくなると思うとさみしくなります。本当に。

*1:「漫画を買うときは意地でもネット書店を使わない」という謎ポリシーのせい

*2:とはいえ、表情や年齢の描き分けや、キャラクターのいる場所や時間帯など、一見してきちんとわかるように描かれていてすっげーウマイと思う

*3:とはいうものの自分自身はヅカファンでないので、10巻読んできて今もなお、どれぐらい「あるある」なのかはわからない

*4:イベントそのものはムラ(宝塚大劇場)で行なわれている

*5:絶対もっと適切な例えがあるはずなんだ…みずしな孝之先生のとか近い気がするんだ…でも最後まで読んでないんだ…

*6:というか1〜2巻らへんが密度濃すぎたんだと思う