ぼくは書評ができない

マンガが好きだ。小説もそこそこ好きだし、ノンフィクションなんかも読む。しかし書評を書くことが苦手なんである。たとえば、ハイクで『シュトヘル』というマンガについてこんなことを書いた。

傑作打ち切りマンガ『皇国の守護者』が話題ですが、作画の伊藤悠先生のオリジナル作品である『シュトヘル』も面白いですよ!!!!(声を大にす)
昨日発売の12巻も素晴らしかったよ!!!!ヴェロニカちゃん病み可愛いよ!!!!

http://h.hatena.ne.jp/tamilele/83459771497535464

シュトヘル』はほんと巻を重ねるごとにどんどん面白くなっていってるから皆にウッカリ手を出してほしい。『ヴィンランド・サガ』とか『ヒストリエ』みたいな歴史ものがお好きなら是非。1巻おまけで伊藤悠先生曰く「おヌードで始まる」し、ポロリ(手とか足とか)もあるよ。

http://h.hatena.ne.jp/tamilele/299843659996344959

これぐらいの短文なら苦にならない。しかし、いざこれをきちんとした書評のていに仕上げようとするとすごくしんどい。書くことはたくさんある。13世紀の東アジアを舞台にチンギス・ハンも登場する歴史マンガだとか、と思いきや現代の男子高校生が当時の西夏族の女戦士に転生*1するファンタジー要素もあるのだとか、文字をめぐって人々が翻弄されまくり残したいサイドと消し去りたいサイドでクッソ熱い物語が展開されているのだとか、女の子がムチムチでかわいいとか、オッサンもムキムキでかっこいいとか、巻末のおまけマンガが本編との落差ありすぎで耳キーンなる(いいぞもっとやれ)とか、いろいろ紹介したいポイントはあるのだが、それを文章に仕上げられない。

変な話、小中学生の頃など読書感想文は得意だったのだ。大して興味のない課題図書をザーッと読んで「あらすじを短くまとめて、この辺のクライマックスに着目して、自分の体験談を交えて締めよう」とサササーッと書くだけ。やらしい話、優秀作品的なシールを貼られて校内放送で読み上げられたこともあるなど、「せんせいにひょうかされるかんそうぶん」を書くのが得意な可愛くないガキだったわけである。それが長じてこうなるとは。

なんというか、こういうブログみたいな場であれば、他人の目など気にせず「自分がその作品のどこをどう好きか(あるいは、どこがどう気に入らなかったか)」を好きなように書けばいいのに、いっちょ書いてみっかと身構えたとたん、指先から放たれるのは体裁は整っているがなんも面白くない「THE★かんそうぶん」であり、アーーとなって全消しする。本当に面白いと思っている、大好きな作品に対してもクソつまんねー紹介しか書けなくてアーーーーとなる。そんで結局、Twitterだのハイクだのにおいて「すっごいおもしろかった」と言語野がだいぶ弱った感じの情動を呟くに至るわけである。

作品紹介が上手な方はネット・リアル問わず多々おられる。何度そういう方の書評につられて衝動買いをしたことか*2。特に、もともと興味のない分野の作品を(言い方は悪いが)「思わず読まされてしまった」ような場合、これこそ書評の力だよなーとしみじみ思うものだ。そのレベルに達したいわけではないが、せめて「この作品の面白さを人に伝えたい」と感じた時に、もう少しお仕着せでも情動のみでもない、「面白そう」と思ってもらえるような文章が書けるといいんだが。そして『シュトヘル』は本当に面白いので読むといいと思います。今!めっちゃ!!アツい展開だから!!!

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西夏の奴隷」の焼き印を押された熊野ナンシー

*1:でいいのだろうか

*2:大好きだった某ダイアリーの方もそうだった。更新停止してしまいとても悲しい